結晶する風景
自然に見えるように、自然に近づくように、
そして「もう一つの自然」となるように
「結晶する風景」という主題は叩き筆による描法と深く関わっている
叩くことによる無意識の導入によって「描く」ことを拒み
「描かれた」画面ではなく、「結晶した」画面ができる。
「描く」ことを超えて自分の感性と画面を直接に結びつける行為が「叩く」こと
それによって現れてくるのは内面に宿る風景だ
自分の中にある自然の記憶を絵具という形で表出させ記録する
自然は心地よいリズムを持っている
人体、木、花、川、海、風景、動物をデッサンしているとわかる
そしてそのリズムは自分の中にも在る
自分の身体的リズムが自然のリズムと同調したとき
絵画は結晶する
伊藤泰雅